何で出会ったか忘れたが、
男性と食事をすることになった。
男性と食事をすることになった。
初めは不審な点もなかったが、
急にスイッチが入りだした。
『君、美容について、興味あるよね?』
素晴らしいエステについて語りだした。
・・・しまった。なんたる不覚!!
マルチな人間であった。
イケメンにつられた己を恥じた。
ちょっと疲れていたのかもしれない。
最近、婚活が続いていたからな・・・。
今までダラダラ世間話をしていたのも、
勧誘に繋げるための前座だったのだ。
彼の演説は勢いを増すばかりで、
素人の力では止められそうもない。
顔つきもガラリと変わって、
何かにとりつかれたような形相だ。
・・・いかん、
まずいことになった。
まずいことになった。
こいつはイケる!カモ到来!
と思ったのだろう。
愛想よくしていたことを悔いた。
一息ついたと思ったら、
『今から、美顔器を試させてあげるよ?』
とほざき出したのだ。
いやいや、結構です!
言うも聞かず、
言うも聞かず、
延々と美顔器を勧められる。
『こんな素晴らしいものを、
試さないでどうする!』
試さないでどうする!』
『君は人生を無駄にしている!』
彼に美顔器の霊が
憑依してきたようだ。
憑依してきたようだ。
・・・もう、
誰にも止められない!
誰にも止められない!
『顔の半分だけ、試させてあげる。
効果がすごいわかるから!』
効果がすごいわかるから!』
1回使えば目で見てわかるほど、
小さな顔になると熱弁。
半分だけ痩せたら、
顔の歪んだ人間である。
顔の歪んだ人間である。
強行突破するしかない。
『そんなすごいなら、
自分の顔に使ってみて、
自分の顔に使ってみて、
私の目の前に現れてくれ!』
彼は怒りの表情を浮かべた
俺の可愛い商品を、お前は疑うのか!?
と言わんばかりに。
商品というか、お前が怪しい。
『大丈夫。あなたの輪郭はよく覚えた!
劇的に小顔になるのを、
楽しみにしている!』
楽しみにしている!』
急に諦めたのか、
彼のほうから帰ろうと言い出した。
引き際のいい男であった。
・・・あぁ。疲れた。
また無駄な時間を過ごしたシリーズか。
あんなに怒っていた彼だが、
食事代を出してくれたのが救いであった。
婚活中は結構、
出会ってしまう人種:マルチ。
レーダーを張り巡らせて、
早い段階で排除したい・・・。
本当に時間の無駄であった・・・。
彼らは人間界に紛れて生活しているので
一見わかりにくいのが難点。
やたらと『お茶しよう』と言うのは、
マルチ確立80%か。
出会ってしまったら、
この彼を数年後に街で見かけたが、
顔の大きさは同じであった・・・。
美顔器、効いてないやんか。
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