いつからこんなに
煩悩にまみれてしまったのだろう。
 

一つのヒントが見つかった。


私はかつて、
赤ちゃん向けの絵本を探していた。


 

ページをめくってみると、
クマが 『こんにちは』 と語りかけてきた。


はいはい、
こんにちは・・・。


さらにページをめくると、
サルが 『こんにちは』
次は、ウサギが 『こんにちは』


めくれどめくれど、
こんにちはの嵐!

 
動物たちが
入れ替わり立ち替わりご登場。


ついに『こんにちは 』しか
見かけないまま、
フィナーレを迎えた。


・・・本気か。


これで終わりなのか。
私はしばし、立ち尽くした。


ヤマなし、オチなし。
実に平坦なストーリーである。


・・・つまらなすぎて、
不安になった。


赤ちゃんはこれで、
楽しんでくれるのだろうか。


これだけ 『こんにちは』
を連呼しておいて、
本のタイトルが 『ばいばい』
ってどういうことだ。

 
かなりのツンデレである。


購入決定権のある大人に向けた、
ちょっとしたギャグかもしれない・・・。


いや、
私もこの世に生を受けた時は、
『こんにちは』
でキャッキャしていたはずだ。


それが40年も経つと、どうだ。
 
 
やれこの本はつまらない、
面白いと批評し始める。
随分と贅沢になったものだな。
 
 
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何かの本で読んだのだが、
 
 
『歳を取るほど、
強い刺激でないと反応できなくなる』


男性の好みも同じだ。


ドッジボールが強ければ、
好きになった小学生時代。
 
 
顔が良ければ
好きになった高校生時代。


マクドナルド割り勘デートでも、
何も疑問がなかった学生時代。
 
 
割り勘で憤怒した、
婚活時代・・・。


ストライクゾーンが
広がっていくと思いきや、
新たな項目が
次々と加わっているとは。


イケメンだったらOK!
と言ってた友人が
『喋りが面白ければいい』
『職業も重要』と
年々条件が増えてきた例もある。


これは強力な刺激でないと
心が反応しなくなった
ということだな。


恋に限らず、何でもそうだ。
 
 
グルメも、旅行も、
経験が増える度に、
感動は初回より薄まる。


『こんなの初めて!』と
目を輝かせる若い女性が
男性に人気であるのも
何だかわかる気がする。


低刺激でも
高反応を示してくれる、
やり甲斐があるではないか。


初心を大切にしたい。
 
 
人は誰もが、
『こんにちは』で
楽しんだ時代があったのよ。