すごい美容室を発見した。
美容師がドSなのだ。


結婚式に参加するため
ヘアセットをしてほしい。
私の願いはそれだけであった。


『どんな感じにしますか?』


そんな基本質問は全くなし。


お前にはこんな髪型だろう!?
オラオラ男が勝手にどんどん進めていく。


何だ何だ、何が起こっている。
ただならぬオーラに圧倒された。


頑固オヤジのラーメン屋よろしく、
口を挟める雰囲気ではない。


顔周りに少し髪を垂らしてください、
勇気を出して言おうとした刹那、


『少し後れ毛を・・・
みたいに言ってくる客がいるんだよね〜。
そんなの古いんだよ!
ウザいから黙ってろって感じだね!』


ひっ、オラオラからの先制攻撃!
恐ろしさに黙りこくった。殺される。


『いや~色々こだわりを
持ったオーダーされるんだけど 、
こっちに任せた方が絶対にいいんだよ!』



こらこら、あんたは
客を悪く言ってはいかんだろう。
心の中で思うのは自由だが。


その後も自信満々のトークを聞きながら
彼の機嫌を損ねぬように大人しくしていた。


くわばら、くわばら・・・。


さて、ものの数分後。
見事なヘアスタイルが出来上がったのだ。



見たことがないような
洗練されたセット。
夜まで崩れなかった。


短時間でこんなものができるなんて・・・。
こいつ、やりおるわい。


気が緩んでうっかり、
満足気な表情をしてしまった。


『ほれ、見たことか』
オラオラも得意げな様子で
自分の作品にうっとりだ。


一緒にセットに行った友人も
オラオラ接客を受けていたのだが、
彼女もセンスのいい髪型になっていた。


『この店・・・どSだけど腕は確かだね』


ようやく一連のオラオラと
辻褄が合ったのである。


これとは真逆のケースもある。


やたらと優しい美容師さんで
心温まる丁寧な接客。


しかし腕がよくなかったのか、
髪の毛はすぐに崩れ落ちボロボロに。


結局、二度目の来店をしてしまうのは
頼れるオラオラの店になってしまった。


ドSになるには実力が必要。
仕事の世界も、婚活も・・・。


実力がないならせめて人には優しく、
悪い印象は持たれないに心がけようと誓った。



ちなみにオラオラの店はあっけなく潰れた。



やはりお客は優しくされたいようだ。



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