ブックオフをパトロール中、
男性向けのナンパ指南書が目に付いた。


・・・面白そうじゃないか!


男性目線の情報を手に入れられるなら、
婚活を有利に運べるのでは。


周りに人がいないのを入念に確認し、
そっと開いてみた・・・。


『ナンパするなら、上野より恵比寿だ』



いきなり目に飛び込んできたフレーズには、
赤線がバッチリ引いてあった。


前持ち主に響いた一行なのであろう、
その線は頼りなく細い。


きっと気の弱い彼の
本であったに違いない。


『声をかける時には、スーツを着用せよ』



そこにも赤線を見つけた。


確かに上野でジャージな男に
声をかけられるよりも 、
恵比寿でスーツの方が謎の安心感あり。


女だってクラブで半裸の出会いよりも
丸の内でワンピースの方が、
男からの印象も違うだろう。


それにしてもこんなに
赤線を引いたものを売るとは、
恥ずかしくないのか・・・。


店員に中を見られたら
生きてはいけまい。


『デートでは、食事代を全額奢れ』

ここにも赤線だ。


その線は先ほどよりも
太さを増している。


自信を持って引いたようだ。


たかだか数千円を徴収して、
自分の評価を落とすのは
賢明ではないと書いてある。


うんうんと、
頷きながら読み続ける。


私も彼の赤線の横に、
重ねて線を引きたい衝動に襲われた。


・・・この作者、
女心がわかっているではないか?
対談したい気分だ。



EFCC2869-800C-4718-89EA-45BAFF706B0B


その後はページを繰る度に 
ますます線の数が増え、
太さもしっかりしてきた。


完全に本の持ち主は
作者を信用し始めている。


こんなに赤線が増えて
この先には一体どんなことが
書いてあるのだろう・・。


どんどんページが真っ赤になり、
ついには全ての行に赤線が引かれていた。



いくら何でも持ち主よ・・・、
興奮しすぎではないか。


完全にトランス状態に入ったようだ。
人が洗脳されていく過程を見た気分だ。


こんなに書き込みで汚して、
よく値段がついたものだ・・・。


しかし赤線部を読んでみても、
大したことは書かれていなかった。


全てに線を引いたら、
どの部分が響いたのか全くわからない。


この本を手放したということは、
読む必要がないほどのモテ男に変貌したのか。


それとも読んだだけでは
何も変わらなかったのか。


・・・きっと後者であろう。
そっと本を元の場所に戻してみた。




そんな私もこの手の
モテ本はかなり読んだ。


線を引いたものを古本屋に
持っていく勇気はないが・・・!


まぁ自分が急死して
赤線いっぱいのモテ本が
親族に見つかるぐらいなら 、
赤の他人に売ってしまったほうが
安心してあの世に行けるな。


売却したところで
得られるお金は数十円。


リターンに対してリスクが大きすぎる・・・!


今の世ならば、
電子書籍でこっそり読みたい。

227062F1-312A-4F8F-ADD8-E9D462ED38B3


 

愛用品シリーズはこちらにまとめてあります♪】