私がまだ
うら若き乙女だった頃である・・・。

 
アルバイト先の同僚に言われた。


『うーん、三重県は全く女らしくないなぁ!』


女としてNGとはいかがなものか。
しかも最強の武器・若さも持っていたのに。


そんな彼は年上の彼女A子(25歳)に
惚れ込んでいた。


女としての魅力がギュッと
詰まった人物に違いない。

 
そんな彼女と
すぐに対面する機会が訪れる。


職場の仲間達でバーベキューを行った。


A子は確かに
可愛い雰囲気の人であった。

 
折れそうなほど細く、
色白で儚い印象・・・。


うーん、確かに女らしいぞ。

 
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ずっと彼の後ろに隠れたまま、
誰とも会話しようとしないのだ。


飲んだり食べたりするときも、
彼の後ろに隠れたまま、
ゴニョゴニョと許可を取っている。


これが噂の三歩下がって
男を立てるというやつなのか!?


『A子は、シャイだからさ~』


彼が嬉しそうに紹介してきた。


オトナの女性がシャイと言われても、
なかなか扱いに困るものである。


皆が気を遣って彼女に話しかけるも、
彼の後ろから小さな声で
一言二言、答えるのみ。


これが女らしさなのだな・・・!
男らしくないことだけはわかったが。


その日の夜は
花火をすることになった。


皆でキャッキャ遊んでいると、
彼女の姿が見当たらないではないか。


どこに行ったー!?


慌てて探していると、
遠くの壁越しからこちらを覗いている。


『A子ぉ、花火こわぁぁぁい♡』


我々は絶句。


花火とはいっても、
子どもが遊ぶ手持ち花火だ。 


ものすごく遠い場所から、
三尺玉でも見るかのように構えている。


さすがにギャグだと思い、
一緒にやろうよ~♪と誘った。


『A子、花火怖いのぉ~♡』


彼の袖を引っ張って、
やはり後ろに隠れた。

 
これはホンモノだ・・・!


家が火事になったわけでもなく、
火でトラウマになったわけでもない。
何なら私こそ台所を燃やしたぞ。


彼氏だけが目を細めて
可愛いやつだなぁとばかりに
嬉しそうにしている・・・。


俺が守ってやらないと!な雰囲気だ。
そりゃ守ってやらねばならんだろうに。


線香花火すら怖い25歳・・・。
後にも先にも、彼女しか知らない。


その後、
彼はバイト先から急に消息を絶った。

 
風の噂ではA子と結婚したとか、
占い師に転職したとかしないとか・・・。


もはや彼ら存在自体が
幻だったのかもしれない。
 

57


女らしさ=花火を怖がること
女らしさ=彼の斜め後ろに潜むこと


彼女のお陰で、
妙なイメージを植え付けられたではないか。


女らしさにも色々と種類があるのだ。


A子のような女らしさもあれば、
力強い母のような女らしさもある。


女らしさゼロと言われた私が
言えたセリフではなかったな・・・。
答えを知りたい。