『すき焼きしない?』
 
 
友人A子が
肉を担いで我が家にやってきた。
 
 
一目見て高級そうな肉には、
松阪牛と書かれている・・・。
 
 
お歳暮だろうか・・・、
正解はこうであった。
 
 
彼女は職場にて、
『結婚したいので、誰か紹介してください!!』
あちこちで頭を下げまくった。
 
 
タイミングよく、
『いいお嬢さんいないかしら?』
 
 
資産家の息子さんが
お嫁さんを探しているとのこと・・・。
 
 
見合い話を持ってきた上司(50代)は、
二つ返事でセッティング。
 
 
資産家の息子、その母親、
A子、上司というメンバーで
真剣なるお見合いの運びに。
 
 
会ってビックリ、
相手は50代のくたびれた中年、
A子は30代前半・・・
なかなかの年の差だ。
 
 
上司の確認ミスだが、
『お金にだけは一生、困らないからっ!』
力強くプッシュされた。
 
 
・・・が、
百戦錬磨の彼女でも
これほど盛り上がりに欠ける場は
経験がなかったそうな。

 
本来ならばマネーの力だけで
人様よりモテてしかるべきな彼だが、
結婚できない理由がわかった。
 
 
自分から声を発することがなく、
ようやく口を開いたと思ったら、
AKBをいかに好きかという話題・・・。
 
 
面白おかしく趣味を披露するでもなく、
1人で謎のウンチクを垂れて
完全に場を凍らせたのだ。
 
 
せっかく強い武器を持っていても、
本人の『モテよう!』という気力がゼロ。
 
 
生まれながらに満たされているのも
幸せでもあり、
ある意味不幸でもあり・・・。
 
 

その後、義理で食事に行き、
彼から住所を聞かれた。
 
 
仲介してくれた上司に
なんで住所を聞くんでしょうね?
と尋ねてみると・・・。
 
 
『あぁ、興信所でしょ?』
 
 
天気の話でもするように
軽~く、言い放った。

 
おいおい、
そんなカジュアルに出てくる単語かね。
 
 
別にやましいことはないが、
調べられていい気はしない・・・。
 
 
・・・そこからだ。

 
突然、A子の家に
食品が届くようになった。

 
宛先は例の彼からだ。

 
気味が悪いことに、
お礼のメールをしても返信がない。

 
音信不通なのでどうにもならず、
それでも毎月、高級食材が届く届く。

 
その度に連絡をしても
沈黙を貫く彼・・・。
何がしたいのか謎すぎる。

 
金額的に貰いっぱなしでは
申し訳ないような品々である。
 
 
『人間って怖いことに、
すぐに慣れるの。
今なんて、今月は何かな〜?っ
楽しみにしてるもの・・・!』
 
 
そんなこんなで冒頭の松阪牛は
資産家の彼からであったのだ。
 
 
もう1年近く送り続けてくるというので、
お見合いの手切れ金にしては長い。
 

 

興信所のために住所を尋ねたことの

カモフラージュなのか・・・謎は深い。

 
 

ふるさと納税ということにしておこう。

 
 

どこかで誰かが潤っていると思い、

ありがたく頂戴する・・・。