『ここ、A男が住んでいるマンションだよ〜!』
 
 
その名前を聞いて、驚いた。
彼は死亡説が流れた男である。
 
 
遡ること約5年・・・。

 
夫の友人にA男という者がいた。
見た目も気立てもよく、独身。
 
 
すぐに私はスカウトし、
独身のB子に紹介した。
 
 
2人は意気投合し、
何度もデートを重ねた。

 
カップル成立にリーチがかかった頃、

 
・・・突然、
A男が姿をくらませた。

 
彼の趣味はFacebook。

 
頻繁に投稿されていた日常報告も、
パタリと途絶えた。
 
 
周りの誰も行方を知らず、
連絡もつかない状態に。
 
 
『死んだか・・・!?』
 
 
しばらくして、ひょっこりと
Facebook上に再登場。
 
 
『関西に転勤になり、こちらで暮らしています』
的な内容であった。

 
いかに充実しているかを
書き連ねる彼らしからぬ、
お疲れ気味な雰囲気だ。
(以降、投稿は途絶える・・・)
 
 
・・・きっと、
色々とあったのだろう。
もちろんB子とは自然消滅。
 
 
A男のことなどすっかり忘れた頃、
まさか近所に住んでいたとは驚く。
 
 
すでに結婚し、
子供も2人いるようだ。
 
 
いつの間にか東京に戻ってきて、
いつの間にか結婚していて、
いつの間にか子供までできていた・・・。
 
 
『そんなこともあったな〜♪』
 
 
死亡説すら、紀元前の話に。
5年もあれば人生は変わる・・・。
 
 
あの頃デートしていたB子も、
別の男性と結婚し、子を成した。
(婚活の死闘が実を結ぶ)
 
 
やはり、
5年あれば人生は変わる・・・。
 
 

時を同じくして、5年前から
『彼と今年、結婚するの〜』
と言い続けているC子から連絡があった。
 
 
まだ話が具体的に進まず、
別れることもできずに立ち往生。
(5年どころか、もっと長い・・・)
 
 
さらにD子からも、
決意表明が届いた。
 
 
『今年こそは、婚活を始めようと思う!』
 
 
毎年聞いているが・・・!!
こちらも5年どころではない。
 
 
死亡説、生き返り、転勤、結婚、
行方不明だったことすら
世間に忘れ去られても5年・・・。
 
 
状況を変えたいと思いつつ、
動かないまま生きていても5年・・・。

 
たかが5年、されど5年。
進むも止まるも自分次第か。
 
 
1人の男の再登場で、
時の流れを思い知った。