キワモノ扱いされているA子(当時26歳)
という先輩がいた。
 
 
顔の造形すらわからないほど、
妙なメイクを好んだ。

 
照りのよい
海苔を貼り付けたような
極太のまゆ毛。
 
 
アクリル絵の具で塗ったかのような、
パキっとしたアイシャドー。
 
 
それよりも
真に恐れられていたのは
強靭なメンタルのほうであった・・・。
 
 
 

A子から誘われた。


『私の好きな人が働いている店に行こうよ!』
 
 
好きな人か・・・
嫌な予感がする。
 
 
連れていかれたのは
バブルの風が色濃く残るクラブであった。
 
 
お目当の彼はバーテンダー。
やりとりを見て背筋が凍った。
 
 
全く、相手にされていないのだ。

 
A子は話が非常に長いという
特技を持っており、
マシンガントークを炸裂。
 
 
客という立場にも関わらず、
存在をほぼ無視されている。
 
 
生返事はしているものの、
彼女の顔すら見ようともしない彼。
 
 
やっとこっちを見た!と思ったら
嫌悪感たっぷりの表情に、
早く帰れよ・・・と
書いてあるではないか。
 
 
完全にウザい客認定だが、
そんなことは全く気付かない彼女。

 
空気のような扱い・・・いや、
空気のほうが格段に上だ。
必要とされているもの。
 
 
ほぼ毎日来ている彼女に
嫌気がさしているのだろう。
 
 
身を乗り出して喋り続ける。
内容は他愛もない己の日常・・・。
 
 
息をしているのかと
心配になるほど、
喋りが止まらない。

 
ついに彼は、
返事すらしなくなった。

 
接客的にはどうなのかと思うが、
限界点に達したようだ。
 
 
見ているだけで辛い、
心臓をギュッと掴まれる感覚・・・。
A子が傷ついていないだろうか 。
 
 
『今日は彼、忙しかったみたいねー
いっぱい喋れてよかったけど♡』
 
 
・・・ま、前向きすぎる!!
あの空気、どう捉えたのだ。
 
 
喋っていたのは彼女だけで、
彼の声、ほぼ聞いていないぞ。
 
 
女は1日に2万語を発すると
ストレスが解消されるというし、
こうやって発散しているんだな。
彼の命と引き換えに・・・。

 
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ここまでお客をシカトできる勇気、
ここまで気にせずに喋り続ける度胸。
 
 
世界レベルを見た気がする。

 
気を遣いすぎて疲れ果てるより、
寿命はぐんと伸びそうだ。



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