会社のメンバーで飲んでいた時のこと・・・。

 
隣の席から明らかに
合コンの声が聞こえてきた。


『あなたのぉ~!人生の~モットーはぁ、何ですかぁ~!?
私のぉ~モット~は~お酒を飲むことですぅぅ~!!』


文字では伝えにくいのだが
頭の線が一本イッてしまった
テンションの女子がいる。


アラフォーの我々には馴染みのない
一気コールが聞こえてきた。

 
恐らく若者であろう。


『じゃぁ~何でその顔に生まれたのかぁ、答えていこうぅ~!!』


己の顔の仕組みにまで質問が及んだ。
神すら知らない答えを聞いてどうする。


私はトイレに行くフリをして、
隣の席をチラリと覗いた。


驚いた・・・
モデル級の美女軍団だったのだ。


おかしなテンションの子だけが
凡人であるのが切なかった。
男2対、女5の合コンであった。


『かなりの美人ばっかりなんだけど!』


私は席に戻るなり、
興奮気味に仲間たちに告げた。


『俺も思った!特に右から2番目と3番目!』


先に覗きに行った者と、
意見がぴったりだ。

 
女の可愛いは信用ならんと
言われるので謎の安心感を得た。


代わる代わるに隣の席を覗きに行った。
アホは我々のほうだ。


そして、ある仮説を立てた。


男性は仕事が忙しいとか
調子こいてドタキャン。
⇨男子2名になる悲劇


様子のおかしい女子は恐らく幹事。
高スペック男子(仮定)のために、
選りすぐりの美女を集めてきた。


ところが、男性のドタキャンにより
女性陣に顔が立たない。

 
実際に仲間の美女たち、
表情は浮かない様子であった。


焦った女幹事は、
アホを演じて場を盛り上げている・・・。


この適当な予想・・・、
そう大きく外れてはいないはず。


そうなると急に、
女幹事に同情と賞賛が集まりだした。


あの言動は全て、
窮地に立たされているからでは。


自分よりも何段階も上の、
美女を連れてくる信頼度。


喋らない男を、
盛り上げようとする努力。(会話の内容はさておき)


これだけ頑張ったのに、
蓋を開けたらドタキャン祭りなんてー!
生きた心地がしないだろう。


見知らぬ他人だが
彼女の苦しさが我々に憑依した。

 
男に対して怒り出した者も出た。



『ほんと、あの子の気持ちになると胸が苦しい!
この人数差で何他に男を呼ぼうとしないのかね!』


私もドタキャンにより圧倒的な人数差が
開いた合コンを思い出し、胸を痛めた。


勝手に作り出したストーリーにて、
我々の心はかき乱された。


ドタキャンはしてはいけない・・・
互いに誓い合う。


no title


子供の頃に聞いた言葉を思い出した・・・
 

『結果は出なくても、どこかで誰かが必ず見ているから頑張ろう!』


当時は何をそんな綺麗事を!
と信じなかったが・・・。


『どこかで必ず、誰かが見ているからな、あんたの努力をっ!』


店から出る時、
心の中で
彼女にエールを送っていた。


・・・本当に誰かが見ていたのだ。
 
 
実際、私が男だったら
彼女の努力に心を打たる。

 
トイレで偶然を装い、
ナンパするかもしれぬ。


どんなに無駄だと思った時間でも
必ず誰かが見ているから、
全力を尽くして損はなし・・・!



   



   

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