ある日の合コンのことである・・。

男女共に寄せ集められた感満載の、
見知らぬ者同士がメンバーであった。

『今日は何も生まれない』

早々に察した誰かが、
過去の恋愛を暴露し始めた。

それに続いて、我も我もと、
酷い恋愛の発表会へと移ったのだ。

誰が一番、ネタ的におもしろいか?
競うようにメンバーが口を開く。

どれ話も甲乙つけがたく、
じっくり聞きたいところなのだが
A子(アラフォー)がそうはさせなかった。

とにかく、人の話を最後まで聞けず、

『あぁ!私もそんな経験があるー!
こんな元彼がいてね・・』

強引に割り込んできては、
己の話に変換するのだ。

登場人物は『元彼』か
『私のことを好きだった男』ばかり。

別の女性が恋愛話をすると、
『あ、その人、私の元彼かも!』
などと言い出す始末。

確率ゼロではないが、
ほぼゼロである。

わずかな共通点を見つけ出しては、
自身の元彼と結びつけたようだ。

もちろん、全くの別人なのだが・・。

また別の女性が話し出すと、
『あ、その人、私の元彼かもー!』

一度ならず二度までも、
元彼をぶっ込んできた。

日本はあんたの元彼ばかりで
構成されているわけではない。

『世の中はあなたの元彼ばかり、いないですからね?』

ピシャリとはね退けたのは、B子である。
言いにくいセリフをよくぞ放った・・!

B子への驚きよりも、
A子が全く気にしていないほうが上回った。

・・いや、自分のことだとも
気付いていないご様子である。

恥ずかしがることもなく、
嬉々として現在の彼話を始めるではないか。

詳細は忘れてしまったのだが
どこをどう聞いても、

『それ・・付き合ってないよねっ!?』
と言わざるを得ない内容であった。

彼が私に惚れ込んでいるが、
どうしようかな・・的な話であったが

明らかに惚れ込んでいるのは彼女のほうで、
交際も暗雲が漂っていたのだ。

なんてコメントしたらいいのだ。
沈黙は金・・!黙っていよう。

『それ・・付き合っていないですよね?』

・・!
またB子がピシャリと制した。

確かにオチのない話が延々と続いており、
流れを変えたい気持ちはわかるが
ストレート過ぎやしないか・・!

ヒヤヒヤしながらA子を見ると、
なんてことはない。

まるで気にすることなく、
彼の話を続けているではないか。

き、聞こえていなかったのか・・?
私にはハッキリと届いたが・・!
(後に幻聴ではないと確認した)

敵もさるものである・・。

A子対B子の対決は
まったく相手にしないA子の勝ちか。

いや、そもそもそんな会ではなく
出会いの場であったな。

もう、何が何だかである。

1

婚活界でたまに見かけたのが、
『人の話を全て奪い取るスキル』を持つ者である。

社交術としてはもちろんNGなのだが、
彼らは総じて幸せそうなのだ・・。

うまくいっていない恋愛でも、
『私に主導権がある!』
と前向きな心を持ち、常に明るい。

ストレスからくる疾患とは無縁。
異常なほどに健康体なのである。

人の話が終わるまで待っていられる
堪え性さえ身に付けたら、最強なのでは・・。

   

無題