動物の生き様が テレビで紹介されていた。
魚のニシンが群れて泳いでいる。


その姿、1匹1匹が弱々しく、
互いに身を寄せ合いながら・・・。


すると、魚群を襲う天敵が現れた。


地上の生き物のくせに
魚よりも早く泳げるという、
憎たらしい奴であった。


これでは水中に住まう
魚の面目が立たない。


あぁ、ニシンが食われていく・・・!
食べられ放題、されるがまま。


私は切ない気持ちで
テレビに釘付けとなる。


ニシンは危険を察すると1箇所に集合し、
大きなボールのようになった。


『これは、身を守るための行動です』



ナレーション虚しく、
どんどんニシンは食われていく・・・。


スイミー作戦、失敗!!
全く身を守れていない。


そりゃそうだ。
こんなに目立ってしまっては、
『エサはここですよ!』と
アピールしているようなもの。


そんな魚群に、二次災害が。


カモメの群れが水面からやってきたのだ。
上からカモメ、下から天敵。


泣きっ面に蜂!
挟み撃ちの大惨事である。


『壮絶なバトルです』 テレビから聞こえた。
・・・違うだろう、壮絶なイジメだ。


一方的にやられ放題でバトル感はゼロ。
一切の反撃はなし。


何故、 これほどまでに
ヒヤヒヤするのだろうか?


私はニシンに己を投影していたのだ・・・。


魚群が痛めつけられる姿は
自分そのもの。


婚活、家賃、実のない合コン、
孤独、 次々に襲いかかる将来の不安。


こちらを守っても、こちらからも敵!
四方八方から矢が飛んでくるのだ。


ニシン(自分)よ、
一匹でも多く生き残ってくれー!


・・・そう願っていた時である。


カモメ、ニシン魚群、天敵、 それら全てを、
一瞬にしてクジラが飲み込んだ・・・!


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今まで映っていた生物は全ていなくなり、
画面はキレイになった。


鳥肌が立つほどの圧巻の映像、
そして静寂・・・。


壮絶なバトルも
遠くから見たら小さな世界であった。 


目先のカモメに夢中になって
もっと恐ろしい敵を見失ってはいかんのだ。


恋愛本にて、こんなフレーズがあった。


『小競り合いで勝って、
戦争に負けたら意味がありません』



まさにこれであった。
目先の勝利にうつつを抜かして、
本来の目的から遠ざかっては意味がない。


クジラは婚活で例えると、
『時』であろうか・・・。


辛い合コンが10回、
100回あったところで
所詮はカモメとの戦いだ。


ここでくたばると、
クジラ(時)に飲み込まれる!

 

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